第9章 7.
ごろんと再び仰向けになる。クリーム色の天井にはうっすらと凹凸で模様が入れられている。旅館と違い、あまり落ち着かない、こういう所は。それをほぼ毎日渡り歩くからリラックスも出来なくてあまり精神状態は良くなかった。
『寝よ……』
もぞもぞと布団に体を挟む込み、照明を落とす。
携帯が充電されている。着信がまた入っている。今は出たくない。せめてゆっくり休ませて…。
静かな寂しい空間で私は眠りについた。
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ビジネスホテルから出て、今日も怪人を探して倒して回る。不思議と風神の力が日々増してきて来ているし、雷神の力も威力を上げている。完全に静電気を抑える事が出来るので、腕や足のベルトはしなくて十分だ。でもポケットの中にしまい込むのは、銀行でふとした時にATMを壊してしまったから。驚いたから放電しちゃったんだけど。
昼食を取ろうとベンチに座った所で携帯のメールが届いたらしい、バイブレーションが知らせた。
"今、どこに居る?"
差出人はジェノスだ。同じ内容のメールも違う人物から届くこともあるけれど、ジェノスのメールを読んで私は返信をし始める。
先ほど買った、サンドイッチ専門店のおすすめの商品。ローストビーフがたくさん挟まり、良い塩加減、そしてレタスと、特製のドレッシングがじゃんじゃんいける。
頬張りながら、周りを警戒しながら。普通に写真を撮っていく人も居るけど、私は知り合いに注意したい所。
"街中でお昼を食べてる"
返信して、数秒で電話が掛かってきた。どうしよう…手に持ってた、結構な最後のひとくちを行ってしまった。
でも鳴らしっぱなしも…と、しぶしぶ通話モードにした。