第8章 6.
『ご馳走様です』
「おう、気ぃつけてな!」
「身体とガロウに気を付けてな」
風を吹かし、屋根に飛び上がる。一箇所に留まらずに、今日はQ市に行こう。
屋根の上に居る、翼を持った怪人を一発電撃を食らわせれば地べたに落ちて痙攣をする。協会に連絡をいれてからまた移動を開始した。
いつものように座っている番犬マン。皆の待ち合わせの目印だ。
時間は16時に差し掛かっていた。
番犬マンは、すくっと、降ろしていた腰を上げ、今夜泊まる宿へと進む私の足元で匂いを嗅ぎ始める。しっぽをふりふりと振っている。
この角度から見れば大型犬そのものである。
『なっ、何…?』
「クン、クンクン…ふーん、なるほどね。アトミック侍達とさっきまで会ってたね…、それから」
足元からじっと見上げる。
「君、ゾンビマンと最近交尾したんだね」
『…ぶはッ!?こっ、交…!?ちょっと、街中で何て事を…っ』
「でも、君側はその時じゃないからね…血の匂いがする。タイミングが悪かったね。次のチャンスに掛けなよ」
満足したように元の位置に戻っていく。
風呂なりシャワーなりで綺麗にしてるのに、3日前の精液の匂いが分かるのか、と犬の嗅覚に驚いた。
というか、まだ私の中に残っていたんだな。そしてそろそろ生理が来る周期だった。
今日は何となく、食べ放題のお店に行きたかったんだけれどな、と思いながらスーパーで食料と生理用品を買いに行く選択をした。
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ハルカと一切コンタクトが出来なくなってしまった。
確かに焦ってはいた。説明は事後だった。ハルカを悲しませ、強制的にあらゆる事を進めてしまった。
もっと話し合えば良かったのだろうか?じっくり話して納得するように会話をしていれば、あんな風にさせなくても良かったのだろうか?
ジーナス博士の元で、ハルカの事を聞いた。
それから、もう一つの結果を聞いた。それは俺についての事だった。
「それから、ゾンビマン。君のこの前の結果だけど…」
「ああ、分かったのか」
一枚の紙に達筆な結果を示していた。英字も数字も混じり合ってしっかりと調べているようだ。