第7章 5.
なんと言えば良いのだろう?でもこの感じだとゾンビマンになんか言われたわけじゃないようだ。
協会側に言われた寿退社扱いという事も知らない。
『……詳細を言ってしまうとクローンというのは当たり前だけど作りづらいもので。低確率の中で出来上がっても奇形であったり、健康面で欠損などの異常があったり短命だったり…。私は体力に難ありって所を能力で補強しているようなんですけど、能力を使うほどに補強が出来ない=体力を削る…、体にガタが来ている。つまりは短命であると…』
話している最中にブブブ、と震えるのは私の携帯。画面を覗けば着信の相手の名前。
机に置いて、その名前を覗き込むアトミック侍とイアイアン。
「ゾンビマンか。電話に出ないのか?」
『まさか。協会に除名しろと言ったのはこの人だもん、私はまだまだやれるのにさ』
通話をしないで未だに震える携帯をしまい込む。
難しそうな顔をして、アトミック侍はお茶を飲んだ。
「……なるほど、長生きして欲しいからと、あんたの相棒がお節介を押し付けてきたって事か…」
いろんな物をね、例えば種付けとかね、という言葉を2本目の団子(磯辺焼き)をお茶で私は流し込む。人に言うべきことじゃない。
「あんたは強者であると俺は認める。なかなかの一撃を放つじゃねぇか。刀の扱いはへったくそだけどな!」
「…師匠」
「イアイ、本当の事じゃねぇか」
『まあ、教えた人の説明がへたくそなんだ、そりゃあ私も下手なもんだと充分に理解してるよ…』
きちんと教える人がいないからこうなる。自己流にも限度がある。
かかか、と笑いこしあんの乗った団子を目の前の男は取る。隣からはずんだの乗る団子が持ち上げられて口に運ばれていく。
「ま、助けが要らないうちは思う存分に生きな。あんたは人を助けて回ってるんだ、きっとそれが返ってくるぞ」
実際に、周りの人から助けられているなぁ、と4本目の団子を手にとった。
ねっとりとしたごまが口いっぱいに広がる。これはなかなかにうまい。うまいけど歯がごまだらけになりそうだ。
『もしも、助けが必要になったらお願いします…ほら、お返しに怪人の場所特定して教えるから』
「おう、その時がきたら助けになってやるよ。しかし、あんた、良い食いっぷりだな…」
最後に残った、つぶあんたっぷりの一本に齧り付いた所で、はっとなって私は恥ずかしさに俯いた。