第7章 5.
ピョンピョンと、屋根を跳ねて移動していると見覚えのある人達を見つけた。
先頭を歩くはヤシのような頭部。
その後ろに3人付いてきている。確か、アトミック侍には実際に会っている。その弟子はフブキの会話に出たくらいで初めて見るなぁ、と屋根から見ていると、一斉にこちらを見上げられた。
黙って通り過ぎるのも…よくないよなぁ、頭をかいて屋根から地面へと降りた。
ふわぁっ、と風が砂埃を僅かに立てて、消える。
「妙な気配すると思ったらあんたか、風雷暴の」
弟子3人組はペコリと頭を下げる。私も頭を下げて、アトミック侍の方を向き直った。
『ちょっと怪人の気配を探って、移動してたら見かけたもんで…』
「ふーん、どの辺りだ?」
アトミック侍は、私が進んでいた方角をキョロキョロと見る。
私はその方向を指差し、付け足した。大体直進して800mくらい、と。
するとニヤリと笑ったアトミック侍は弟子の二人を、口に加えたもので指名する。
「だとよ。カマ、ドリル。お前らで行って来い。俺はちょいとこいつに話がある」
「それじゃ、行ってきま~す!」
カマ、と呼ばれた方がそう言うと、2人が走って行く。その背中をぽかんと見ていると隣からクツクツと笑いながら、悪いな、と謝罪された。
「あんたの力じゃいつでも怪人を探せるだろ?今回は手柄はあいつらにくれてやってくれ、ここはお話をしようや」
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ファミレスとは違う、旅館にも似た雰囲気の店舗。和菓子を取り扱うカフェ…、茶屋に入りお座敷に座る。
私の隣にイアイアン、私の目の前にアトミック侍。お茶と、団子の盛り合わせが机の上に運ばれてきた。
「辞めたと思ったら除名は無し、と聞いてな。何かあったか?」
こいつは俺の奢りだ、と勧められて一本手に取る。黄金色といっていいほどの濃厚そうなたれが絡むみたらし団子をひとくち食べた。
甘くてしょっぱい、すごくこだわってそうな一品だ、人気メニューと書かれるだけはある。いくらでも食べられそうな味だ。
『私が…クローンって事は知っていますよね?』
「ああ、風神のクローン、だったな。その風神のクローンだったから一旦辞めさせられ、でも実績があるから除名は無しって事か?」
「毎日怪人を倒している実績があるんだ、除名されるのはおかしいからな」