第69章 67.
紙袋の中身を受け取ったのはジェノスでプラスチックの容器を留める輪ゴムを外し、黒い中身を取る。
「という訳だ、何となくその再生力は察するがさっさと食べて再生しろ」
『ふむぐっ』
口に押し込まれた物は巻き寿司。
手軽に食べられるもので、確かに片手で軽く食べられるけど、どういうチョイスなんだろう。おにぎりとかサンドイッチとかもあるだろうに。口がちょっと乾く。
恵方巻って文化もあったなぁ、と思いながらも言葉が出せないので口を動かす。
『おいひいれふ』
「おい、食いながら喋るな」
一本を食べ、咀嚼しながらジェノスが手に持つ次の巻き寿司を見る。
ふとゾンビマンやサイタマを見ると微妙な顔をしている。二本目の巻き寿司を咥え、もぐもぐと食べる。
一本目の半分の時点で上着から漏れ出す蒸気の量が増えているから、再生力が上がっているのは分かる。人体って凄い…というよりもゾンビマンやジーナス博士の技術が凄いのか。
「なんかこれさ、フェラ「言うなハゲマント…」ハゲマント言うな。なんでちょっと前かがみになってんだよ…お前…」
『ひもふぇはひふふぁ(下ネタ言うな)』
「食いながら喋るな、集中して食え」
私が回復の為に(ジェノスに急かされながら)必死に食べていると、アトミック侍とバングが揃って掛けられた上着を捲った。
「お、胴体の皮膚までは再生しておるな、後は手足って所か」
「…おっと、風雷暴の乳見ちまった、すまんすまん」
『ん゛~~~!!』
「騒ぐな、早く食え。あと女性の裸体を見てるそこの奴らは何なんだ、しまえ」
ジタバタと暴れると、二の腕辺りと膝辺りまでは再生しているみたいだ。
ジェノスが暴れるなと言って、童帝君がズレた上着をきちんと被せ直す。
全身の再生が終わったのは二本目を食べ終わる頃だった。