第69章 67.
意識が飛んだり、痛みで覚めたりを短期間に繰り返しながら、何度目かの覚醒で理解し始める。
ざわつく針の音や、咀嚼される音が一切聞こえず、視界には私を囲んだヒーロー達が居る。雑談でもしているようだ。
ゾンビマン、童帝、金属バット、サイタマ、ジェノス…、シルバーファングにぷりぷりプリズナー、タツマキにアトミック侍。
「お、気が付いたみたいじゃな」
『あのよの…おむかえ…?』
「ばっか言え!オメェはまだ死んでねぇっての!」
顔より下でシューシュー言っている…
という事は再生しているという事。それに再生されていく感覚がある、正座などをして、足がしびれるような感覚。あのぴりぴりザワザワする感覚を理解している。
サイタマが顔より下をじっと見ながら何やら感心している。
「お、胃袋が出来たぞ」
「へぇー…勉強になるなぁ、今度は肝臓が再生し始めましたね…理科の授業よりも凄いぞ、よく見ておこう。ハルカさん、動画撮っても良いですか?」
『……待って、今何が起こってるのか知りたいんだけれど』
視界の中、逆さに見えるゾンビマンがその質問に答える。視線は私の目だったり、首より先だったりと行き来している。
私はどうやら、あぐらをかいたゾンビマンの足を枕にしている状態らしい。
「ここのアジトを掘ってた怪人の親玉に連れ攫われたんだよ」
『ん、それで食われる直前に倒したよ。何度も食われて抵抗してを繰り返してたんだけど……
知りたいのは今起こっている事、現在の状況の話を聞きたいんだよ』
うーん、と唸って周囲を見渡すゾンビマン。
他のヒーローは私だったり腹部辺りの見ている。
「童帝達がハルカがこいつに食われたって言うんで、童帝のロボ頼りにハルカを追いかけてきたんだが、この空間に来たらお前は首だけで、身体はそこらに転がるやつらに食われた後でな…現在お前の回復を待っている。
首だけ運んじゃ再生段階によっては移動が困難だ。だから物が食えるくらいまでは再生を待っていた、って所だ」