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欠落の風雷暴

第68章 66.


私がこの怪人達の親玉を攻撃をした時、生き残った奴らは怒り狂うと想定していた。
ビクンビクンと横に倒れたこいつらの母の死骸。巻き添えになった怪人らの兄弟達。一気に飛びかかる時に稲妻を打ち込んでやろうって考えていたんだ。残った彼ら、彼女らは針をざわつかせながらママ、とかお兄ちゃんと呟いていた。来るならこい、と自分を落ち着かせる。

予想外な事に、それは怪人だからなんだろう、親や兄弟の死を怪人達は"喜んだ"

「ライバルガ減ッタ!食エル肉増エル!」
「いっぱいたべるです、ええ、おなかみたすね」
「イタダキマァス」

薄明かり視界には食事にありつく事しか考えていない怪人。手足に食いつかれ、筋組織が毟られていく痛み。

『ぐっああァァ!!』

稲妻を放つ。バヂィン!と空間に木霊する大音響に、天井から土が僅かに落ちてくる。数体に感電したようだけど、死骸を蹴散らして次の個体が私に食いついてくる。怒りではない、食欲の導くままに。

複数箇所からの痛みにキャパオーバーだ。
ブチュブチュ、と筋肉と血管が剥ぎ取られ、神経も千切り、ぼりぼりと骨に齧る振動が直に伝わってくる。
生きながらに食われるという恐怖。四肢に終わらず、腹のあたりに擦る感覚、そして外気に触れる寒さ。

ブチィ、と着ていた服が噛みちぎられ、へそが天井を向いた状態の素肌が晒される。それだけでは終わらない。胸を隠すブラジャーも引きちぎり、下半身を覆い隠す下着も噛みちぎって、バラバラにしていく。
鳥を食べる前に羽根を毟っていく、そんな感じなんだろう。
手足もない状態で、身体は再生を優先にしている中での大きな技は無理だろう。大きな抵抗が出来ない。

土を掘るのに適した強靭な爪が腹に食い込む。横に裂かれる。熱さを思わせる痛みと垂れ流される自分の温かい血液。前足で体重を掛けてボキボキとへし折られる肋骨。骨が皮膚を突き破り二重に痛む。

ああ、私の内側を毟られていく。生きていくのに必要な臓器がどんどん無くなっていく…身体の欠落。
腹に乗る、柔らかくも温かいものがぬるりと肌を滑っていく。私の視界の中で腸が怪人の口に美味しそうに飲み込まれて、食い漁られていく。

……心臓が噛み切られた瞬間に血液が飛び散り、怪人の小さな個体達は目潰しを食らっているようだ。
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