第68章 66.
「ハルカ、さん……?」
"それ"を覗き込む童帝を狙う怪人の目を狙って銃を放つ。ゼロ距離だ、確実に死んだ。2体目が襲ってくると、ランドセルからのメカが自動で怪人を突き刺して倒す。
…そうだったな、童帝も立派なヒーローだ。
ハルカの事に専念しよう、と次にハルカの胴体のあった部分の、肉片を食らう怪人の顔面目掛けて手斧を振り下ろし、足で蹴って転がす。息があったので銃を一発ぶち込んだ。
ドン、と撃ち込まれると動かなくなる。
直ぐ側にはデカい個体。顔に黒ずむ痕。ハルカが撃ち込んだんだろう、それで死んだか。もう動くことは無い。
"それ"のある足元から次第に減っていく怪人達。しゃがんで転がった残った恋人の頭に触れた。
生暖かく、まだ生きている様だ。
「……、」
「ゾンビマンさん……ハルカさんは、」
その肩まで食われた首から上を抱きしめる。髪も長かったり短くなったりで、血にまみれて真っ赤だ。
死人のそれだ、肌が俺のように白く、跳ねた血液が赤く染めている。口元からは吐き出したであろう血液が伝っている。その血液を指先で拭うと、閉じた瞼が僅かに開いた。
「待って下さい、蒸気がうっすらと出てますよ!?」
「本当か、いや本当だ!奇跡的に生きてるぜ!」
虚ろな瞳で驚いた様に瞼を開ける。
僅かに開いた唇からは掠れた声が漏れる。声帯が再生していないらしい。
しっかりと俺のサプライズが効いていて、不死身になっている。
「なんでハルカ首だけで生きてんだよ……」
軽く殴ってまた一匹倒したサイタマがこちらを見ていた。つい、こないだまでの同居人であっても話す機会がなかったようだ。
シュウシュウと音を立てて、とてもゆっくりと再生を始めていく首の切断部分。切れた髪も少しずつ伸びていく。俺とは違うタイプの再生方法だった。
このまま首を持っていても内臓が溢れて再生どころじゃないな、と一旦地面に後頭部を地面に着けるように置いた。
「すまないが怪人を近付けない様に、童帝も一緒に見張ってくれ、俺はここから銃を撃っていく」
「はい!」
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