第67章 65.
通信が入ってからは、立体的なマップの最下層近くに集まる点を目指して走った。
他のヒーローも駆けつけているんだろう。また、まっすぐ突き進む者はプリズナーあたりか?
片手に発信機を持ち、片手に銃を持って走り続ける。この通路を作った怪人か。確かにそいつを倒すのは重要な事だが、俺にとってハルカを助けるのが一番の目的だった。
胴体に喰らいつき連れ去ったという、親の個体。子供がまだどこかに居るのかも知れない。補助程度の再生力でどの程度持ち堪えられるのか不明だが、食われるという感覚は良いものではない。俺とは違って血色は良いあいつ。俺が吸血鬼に血を吸われた時は不味かったらしいが…ハルカが美味かったら食欲は止まらないだろう。
頭上、パラパラと小石が落ちてきて、土の固まりも落ちてくる。
崩壊ではない、点の一つが近付いてきている。走っていた足を止めてその場所を見上げて確認しようとした。
ガゴン、と開いた穴から筋肉質の全裸の男、プリズナーが飛び出して来た。
「プリズナーか」
「丁度良い所にゾンちゃんが居たな!」
「ああ、こっちも都合が良い、後に続かせて貰うぜ!」
その言葉を聞いて、プリズナーは頷き、斜め下に向かって飛び込む。
「掘るのは得意だ、突いてきなさい!エンジェル☆クロール!」
「……」
……色々と突っ込むのは辞めておこう、とプリズナーの片足に掴まって進んでいった。
土を浴びながら、小石で傷を作りながら、また空間に出る。ボド、と俺は落ち、眼前にはプリズナーのケツ。
…連れてきてもらった手前文句は言えん。黙って立ち上がると、他のヒーローと合流が出来た。
足元は悪く、今までの通路の地面が平面だったのに対し、斜めになっている。また、暗く更に下の方ではぼんやりとした明かりが見える。明らかに今いる場所は掘りたての通路だ。
「プリズナーさんにゾンビマンさん!」
「焦って殴るとは、余程急いでたんだな、童帝きゅん…ハルカちゃんが心配なんだな!」
拳を構えた童帝、どうやら頭上から現れたプリズナーをつい殴ったらしい。まあ仕方ない。俺だってビビッたらそうする。