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欠落の風雷暴

第65章 63.


そう言い残して金属バットも急いで元来た道に走っていく。
左の耳の後ろを掻く。さっき落ちてきた土が付いてたようで、その土を息で吹き飛ばした。全く、怪人を潰そうにも通路を新たに作り出す奴が居る方が厄介じゃねぇか。自分の立っている場所から判断すると、採掘されたサイズは縦横共に3メートルほどか。
蒲鉾上の断面、丸く掘られても怪人共が歩きやすいように踏み固めたり、天井に杭打って電気ぶら下げてんだろう。簡易的とはいえ、放っておけばあちこちの市に被害が出るだろう。地盤沈下もそうだが…集団で各地にでも現れたらどうしようもない事になる。

振り向いてカマとドリルを見る。ちぐはぐさは大分減ったブシドリルから紙袋を受け取った。

「俺の代わりに通信で共有しとけ、あいつらの援軍に俺が行ってくる。通信は童帝の端末で充分だからお前らはカマの持ってるやつで充分だろ、いいな?」
「し、師匠!?」

全く人質3人ときたら無茶をするやつだな、と思いながらも食料を持ってふたりを追いかける。
風雷暴も、幾ら強くても死んじまったら元も子もねぇ、というか再生力があってもゾンビマンほどでは無いらしいから怪我の具合によっては死ぬ可能性がある。もっとも荒く食われてゆっくりと怪人の腹の中で再生するなら別ではあるが…。

「胴体か……」

ヘリの中で聞いた話を思い出しながら走る。

「良い記念日になる所を悪い記念日にはしたくはねぇよなぁ…、」

無事だとしてもお前らは後日改めてデートしとけよ、と考えながら金属バットの背を追った。
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