第64章 62.
スパ、と切れる怪人。
サイコロ状に切られた肉体は崩れ落ちて、ようやく切られた事を思い出したかのように血液を垂れ流す。
結構地下深くに潜って来た。共に行動する弟子のイアイ、カマ、ドリル。
それぞれが単独行動だったりする中で弟子を連れた俺達が適任だって、拉致られたんだか先に潜入してんだかのヒーローの元に合流する為、今も向かっている。
ブシドリルには協会から受け取った荷物をもたせた…が童帝のランドセルが厄介で背負うにも小せぇし、片方の肩に背負い、金属バットの武器も持って貰い、おまけに風雷暴の食料も持たされている。
…武士の格好をして肩にランドセル、バットを背に背負い、片手に手提げの紙袋…なんともちぐはぐな見た目になっちまった。
また、発信機をカマにもたせて、背後を警戒してもらっている。
先頭は俺とイアイ、怪人の生き残りは戦力は本当に生き残っていたやつらしく戦う力の殆どない雑魚の中にたまに強い奴が混じっている、というくらいか。
ズズン、と揺れる。頭上の土はパラパラと落ちて電球がぶらぶらと揺れている。また、ズン、と揺れて、小刻みに揺れが続く。
誰かが戦っているんだろう、せめてこのアジト全体を潰すなよ、と思いたい。
メンバー的に全員が生き埋めにする力を持つ、S級だ。
また、ズズン、と響き渡る音。
この前のガロウの時のB級…いや、今はA級だったか。あいつは加減が出来無さそうだなぁ、と想像しながら薄明かりの揺れる通路の先を見据える。
「どうやら速度上げてこっちに向かってきてるわね」
風雷暴達の事なのか、カマは発信機の立体的なマップ…、空中にただ浮く点を見ている。
そのマップを見ると、確かに急ぐようにこちらにやってくる。
少しばかり嫌な予感がして、通路の先を見る。
「イアイ、一応用心しろ。敵を引き連れてるかもしれねぇ」
「了解、先程からの振動も関係あるかもしれませんね」
腰を下げて、柄を握るイアイを見て、通路を睨む。
薄明かりに照らされるのはこちらに走ってくる金属バット…と、その他だ。
「ブシドリル、預かったもの渡す準備しといてくれや」
「御意」
やっと合流だな、と鼻でため息を吐いた。