第63章 61.
あははは、という頭上の童帝君の笑い声。
不意討ちを皆が聞く通信で受けてしまった。なんなの、本当になんなの…!
しゃがみこんで両手で顔を隠し、耐える。耳までは隠せない。熱いからきっと赤くなってるのが見えてるんだろう。
「おい、ちゃっちゃと進もうぜ!」
『げほっ!?』
背中にバシバシと力強い攻撃に一度むせた。
確かに、私も怪人と戦って居る時に時に天井の土がパラパラと落ちてきていたし、駆動騎士が言うには入り口付近、私達が見た檻のある監禁部屋以外はほとんど素掘り。
階段は石というか、ブロックであり、いかにもまだ手を入れていきます、というアジトだ。
ゆっくり立ち上がって歩を進める。
ちょっとにやけそうになりそうだから片手で口元を隠して、出来るだけ平然を装った。
平常心、平常心…、
「ま、これで順序が守れるだろ、ちゃっちゃと会ってちゃっちゃとお望み通り子供作れよ」
「金属バットさん!」
『…うん、そうだね…作ろうかな』
「ハルカさんっ!?駄目ですよ!」
ようやく来た分岐点。十字路というか、真正面は上がりの階段、左右に通路。
左には点が奥の方にある。端末を指先でスライドすると立体的なマップの角度が変わる。今よりも上に点がある、奥に階段でもあったのかも?駆動騎士は左に居るからね。
とすると私達は右側に行けば良い。他の動く点をタップすれば端末番号と今持ってるヒーローの名前がローマ字表記で表示される。
駆動騎士に次いで近いのはアトミック侍達。右に進んだ通路よりも少し浅い階層に居るみたい。
『…この先、怪人がいるね、』
「おう、どっちが行くよ?」
『まだ余裕もあるし、私行っとく』
バサ、と童帝君は感電防止のシートを広げて、金属バットをそこへ入れる。準備が出来たようだ。