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欠落の風雷暴

第62章 60.


ザザ、と新しく通信が入る。

「あんまり大振りな技使うと崩れるわよ、怪人達だけを狙っていきなさい」
「ほう?タツマキも崩したって事か?」

沈黙。これはチンタラやってる場合じゃないな、メンバー的にこのアジトごと潰してしまいそうだ。

「……別に、私の場合超能力だもの、崩しても直すくらい出来るわよ。そういうシルバーファング、あんた"も"って言ったわね?通路崩したんでしょ?他のヒーローが出られなくなるわよ!」

「なあ、これ9階から順に崩していけば良くね?「先生、ハルカ達は武器が無いです」そっか、そりゃ合流が先かー」
「わりぃ、こっち来る途中の一箇所は潰しちまったわ。そこ以外通ってくれよ。ちなみにカマがふたりのご要望の品物持ってるんだけどよ、俺達の位置分かるか?」

長い土とカビ臭い通路、時々どっかで戦っているのか、通路を潰しているのか地響きがある。
発信機を持ちそれぞれが動き回る光る点を見ながら、本当に大丈夫か心配になってきた。ハルカ達は大丈夫か?

ピロン、とメロディが鳴り、聞こえてきたのは童帝の声だった。

「駆動騎士さんのデータに、それぞれの発信機の持ち主のデータが付いてます」
「おお、そっかそっか。童帝と金属バットはこっちに、風雷暴は俺達に合流次第、ゾンビマンと合流しな、へっへへっ」
『なんで声が笑ってんですかねー…』

ハルカの声だ。発信機のボタンを押して歩きながら周りを確認し、俺の音声を送る。

「おう、という事でちゃっちゃと合流したら生き残りを潰しながら地上に上がってくぞ」

俺の目の前には全身に目が付いた、人型の怪人が見えてくる。薄明かり、白目に当たる明かりが光っている。
いつもの服の時に怪人と出会うならまだしも、今は汚したり穴を開けたくない。片手で煙草の箱を取り出し、揺すって一本を引き出して咥える。

『了解、アトミック侍達に合流したらいく』
「あ、あとそれからひとつだけ言っとくぜ、」

カンッ…シュボ、とライターで煙草に火を着けた。

"今日の服似合ってるぜ"

向こうは無言、きっと真っ赤になっているんだろうな、と思っていると、やけに冷めた声色で、そういうのは他所でやれというハゲマントからの通信が入った。
ニヤリと笑って発信機をしまう。銃口を向けて目の前の敵に打ち込んでいった。
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