第6章 4.(激裏/無理矢理系)
声を上げた。
武器を取り付け、ポンチョを手に取る。防音の部屋、窓の外は相変わらず曇り空。
『私の生き方を、誰にも指図されたくない!孤児院に入れられ、博士にモルモットにされ、連れ出されて、自由な私に、普通を教えてくれたあんたには感謝してる。でも…
ヒーローを辞め、子供を生んで死ねっていうのは、あんたの…私への諦めじゃないか!』
精算機でさっさと支払いをして出ていく。
後ろから裸のゾンビマンが追ってきたけれど、風神の力で奥へと吹き飛ばした。
屋根に上り、何軒か移動した軒下で協会へと電話を掛ける。
『風雷暴のハルカですが…、』
「セキンガルだ。風雷暴のハルカといえば、突然だが除名するとの少し前に連絡があったんだが…」
『…どういう理由での除名ですか?』
「ああ、寿退社みたいなものだ、と…ゾンビマンから…」
しっかりと既成事実をバラ撒いている。それを聞いてため息を吐いた。
『いや、そんな事はないですよ、ただの束縛心からでしょう。除名はしないでおいてくれませんか?でないと、ただの趣味で怪人を狩る人になってしまいますから』
向こうも何がなんだか、という感じで了承をした。
通話を切って空を見上げる。きっと手際の良いゾンビマンの事だ。ジェノスに連絡しているとみた。
そうなると、今はサイタマしかいない、あの家には帰れないだろう。通話ではなく、メールでジェノスに連絡を入れておく。しばらく帰らないと。
こうして、ヒーローという肩書のままに風来坊な日々が始まった。
空は私の気持ちを表すように、小雨が降り始めていた。