第62章 60.
ズン、と脳天に衝撃が走る。
痛みと胴体に君臨すべき頭部の軽さを感じる。頭を抉れさせたのは怪人だ。大きな鳥の怪人、キツツキと言えば良いのか?真正面での一撃は重く、また動きは素早い。
中のシャツがべとつく。グレーのワイシャツが血で染まっているな、これは。肩に乗った俺の脳味噌の破片を手で払い、折角の服が台無しにされた怒りで鳥野郎を睨みつける。
「おいおい、なんてことしやがる」
「ギュワアアッッッ!」
人語は話せないようだ。耳障りな鳴き声を出している所を失礼するが、ジャケットから拳銃を取り出して撃つ。
ドンッドン、と脳天目掛けて撃つ。鳥は脳味噌が小さいからな、念入りに打ち込んで殺す。
「ギュアッ!」
首をしならせ、通路の壁に凭れるように倒れる。ビク、と一度跳ね、銃弾が撃ち込まれた傷から血が流れる。
鳥の死骸で片側が詰まった通路、発信機を手に持ち位置を確認する。データが更新されたのか一部マップが出来ている。
それを見ていると丁度、小さなノイズが入った。
「駆動騎士だ。S級ヒーロー3名と一度合流した。監禁されていた場所は最下層、地下10階と見られる。
また、安否確認し元気だったのでそのまま怪人駆除に回った模様。それから童帝の持つ、怪人の利用していた端末から通信も出来るようアップデートさせてもらった。
こちらは引き続き、残党駆除に回る」
その通信を受けて次々と通信が入っていく。
「駆動ちゃん、ナイスだ!この通信は童帝きゅん達にも聞こえているのか?」
「通信だけなら垂れ流しで入るはずだ。通信する際は通話で介入しないといけないがね」
「そうか…」
通信を受け取りながら、通路を進む。
この前の時よりも質素な作りのアジトだ。入り口はコンクリート加工がされていた、が、それ以降は素掘りに、天井にはペグで撃ち込まれたコードと裸電球。急いで作ったに違いないが、僅かな期間でよくやる、とも言える。それは同時に放っておけば、この前の怪人協会アジトの復興が簡単にできてしまうという事も意味している。
しかしだ。攫われたヒーロー達は元気だという事を知り安心した。ハルカは我慢強く、無理をすぐにするからな、てっきり暴走しているのかと思ってしまった。