第60章 58.
「…はい、…はい童帝です、」
対応からして協会、かな?
童帝君は何度か返事をして、通信を切る。顔色は良いから悪い情報では無いみたいだ。
「ここに協会からヒーローが突入するそうです」
現在位置から風を吹かせ、情報収集してる間に、端末で童帝君は端末で何かのデータを受け取ったらしい。
「前回の発信機を利用して、ここのマップは無くとも空間に現在地を表示出来るようにしたんで…と、やっと見れるようになったぞ!」
黒背景のスマホの画面上に7つの点がある。一つだけ色が違う。多分コレが童帝君が持ってる端末なんだと思うけど。
『誰が来てるとか言ってた?』
「いえ、主にS級の出陣出来るチームで向かったといってました。僕も合流して、ランドセルがあれば…」
今背負っているランドセルは小学生らしく、教科書が詰め込まれている。
予備の工具と、筆箱と小物でなんとか戦闘は出来るらしいけれども、それこそ長期戦には向かない。本当にもしもの時に使うべきで、金属バットと私で戦闘をしなくてはいけない。
まだ元気であるけど、さっきから力を使っているので、レーションを剥いて食べる。明太子の味がする、明太マヨのたこ焼きレーションだったようだ。
ピュル、と風を巻いて周囲の情報を得る。
『……っ!?なんだろう、高速でこっちに来るよ、雷防止の膜急いで!』
さっきのチーターよりも速いかも。
初手でやられるよりはこっちから攻めないと、と構えた。
「待って下さい!その人は、」
パリッ
素掘りの通路で雷を纏って突進する。壁を走り斜めから目標補足、黒い影目掛けて──、
そこで気づく。どっかで見たぞ、と。けれども勢いは止まらない。
『止まんない!避けて!』