第60章 58.
駆け寄り、通路を見る。薄暗く、奥へ行くほどに暗い素掘りの洞窟の通路に一匹の遠ざかっていく怪人の姿。
四足歩行で走っていくスタイル。滑らかな筋肉の動きと首を動かさない走り…チーターのように見える。
『行ってくる』
「おい、あんまり深追いすんなって…、」
バヂィ、と体表に纏わせ、壁や天井を駆けながら雷となって攻め込んでいく。
薄明かりの通路、チーター型の怪人を蹴りながら撃ち殺す。ドォン、と通路内に響き素掘りの通路の天井からパラパラと土が落ちる。
あ、これはこの前の怪人協会アジトに突入の時のノリで派手にやちゃったな。上がなんだか騒がしい、異常事態だと気付かれちゃったかも。走り寄る足音で後ろを振り返ると鬼の血相で走ってくる金属バット。その後ろからは童帝君。
「童帝が隠密行動っつってただろーが!」
『ごめんって』
索敵せずとも敵が近い。階段下で手を構え、階段上に伸びる竜巻を作り出す。
『雷も行くよー』
ガサガサ、と膜を広げて対策しているのを見て、雷も竜巻にトッピングする。上の階では悲鳴が上がっていて、風も押していることから下に降りてこられないようだ。
後ろを振り返る。しっかりと感電しないように寄り添うふたりが居た。
『階段周辺の敵を蹴散らすから、先に行く。竜巻が無くなったら上がって来てよ』
「気を付けて!」
エスカレーターのように上がる風に乗り、階段上に上がる。
不意討ちの無いように体表に雷を纏わせ、1階上に着く前から放電を始めた。カルト的に囲んでいた怪人達が麻痺して風が切り裂く。通路壁に血飛沫が付いた。
竜巻を消すと、何事もなかったような静けさ。砂埃も落ち着き、僅かに残った階段近くの裸電球に照らされた通路には様々な見た目の怪人が7体転がっている。
静かになった事で、警戒をしながら階段を登ってくるふたり。
合流した所で童帝が私達が捕まっていた檻前で拾った端末を耳に当てた。