第59章 57.
「生きてるかね?この持ち主は」
「生きてても欠損状態でしょうし、真空といっても雑菌が繁殖してるでしょうから…持っていっても返す事は出来ないですよ」
誰かの筋肉を冷蔵庫に戻し、厨房から食堂に向けて風を吹かす。
ひゅるる、と音を立てて食堂には生体反応が無い事と、次に行くべき通路の情報を探る。
『通路、直線上は…食堂に向かう怪人が2体…、約50メートルまで近付いてる』
「おー、じゃあ入ってきた瞬間にぶちのめすわ」
金属バットはそう言って食堂側で待機しに、厨房から飛び出していく。
残った童帝君と私。童帝君はひとつ小さなため息を吐いて、飴を取り出して舐める。いつもの棒付きでは無いみたいだ。
「協会から抜ける前にこんな事件とか、不遇な扱いされないかなぁ…」
『結果的に残った残党を捻り潰せるから良いんじゃないの?放っておいたら、私達じゃなくて抵抗の出来ない人が冷蔵庫の中身みたいにされてたよ』
「そう…かなぁ…」
厨房から食堂を、顔を半分出して覗き込む。
会話が近付いてくる。男と女の声。そして振りかぶった金属バットの背中が見え、勢いよく振り下ろされる鉄の棒。
「オラァ!」
「ぎゃいんっ」
1体が逃げて行ったようで、金属バットは、あ!と短く叫んだ。