第59章 57.
「あいつら一般人と間違ってヒーロー拾ってきやがった!」
食事中で逃げ惑う怪人の後頭部目掛けて金属バットが片手で殴りつける。
もう片手には予備の一本と捻れた槍を握りしめてる。
捻れた槍を投げつけて、この場から逃げ出そうとした四角い頭の怪人の腹に突き刺さった。
バチィ、と電気を放ち一度倒れた怪人は痙攣しながらも這って逃げようとしている。死に損ないだ、まだ息があるのか。
頭を掴み、直に雷神の力を流し込む。
バババ、と光と煙を放ち、トドメを刺された怪人はビクビクと痙攣しながら息絶えた。
「そっち終わったか?」
『ん、全滅。あとは童帝君の居る厨房…』
ガチャン、と食器の割れる音と、それを踏んだであろう音。
ひょっこりと童帝君が顔を出した。
「こっちも終わりましたよ!」
覗き込みに行くと、クリーチャー型や爬虫類型の怪人の死骸が転がり、食器があちこちに散らばった光景が広がる。
厨房を漁り、包丁棚から刺身包丁を取り出す。無いよりはマシだろう。ゴムで出来た怪人みたいなのもいたし、刃物は必要だ。
同じく使えるものがないか漁る金属バットはすりこぎ棒をじっと見て捨てた。普段バットを使っているせいか、長い棒状の物を物色しているようだ。
「わざわざ人間社会の道具を持ってきてまでこいつら何やってんだかなぁ」
「端末なんて一般的に販売されてるものよりも精度が良いやつですよ…(ボフォイ博士関わってないだろうな…)」
『冷蔵庫には…肉。うわっ、犬、猫、熊…人間』
肉の真空パックを見つけ、種類毎に分けられている。
グルメであるけれども、この人間っていう肉がある時点で悪食だと思える。
桃色の筋肉に血液が纏わりつく、生々しい肉。重さは分からない、大きさ的には手の平程で大きい。太ももか尻かその辺りだろうか?ふっくらとした肉の塊だ。
そのパウチを持ち、黙って肉を睨む。