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欠落の風雷暴

第58章 56.


会議も終わり、童帝から協会へと送られてきたデータを元に現地へと向かう。
風神の問題もない為に3機のヘリで近くまで搬送される事となった。もしも空を飛ぶような怪人が居てもタツマキがいるから対策は出来る。
いつもと違う上着で落ち着かないが、服装が違うだけで俺の持つ武器は完備している。周りからは良くない視線で見られるが。
ヘリの前に行き、乗り込むと俺の乗ったヘリはアトミック侍と弟子達が先に乗っていた。

「おめぇ、いつもと違うけどよ……まさかのまさかだと思うが…」

勘が良いんだろう、腕を組みニヤニヤとするアトミック侍とオカマイタチ。
人のプライベートに足を突っ込んでんじゃねぇよ、と呆れながらも席に座る。ドアが閉められヘリは飛び立つ。

「……そのまさかの日の待ち合わせにお姫様が攫われちまったんだわ」
「キャー!」
「日を改めるべきだろ、ゾンビマンさんよぉ、折角の服が敵によっては丸裸にされねーか?」

指先で差すはきちっとしたジャケット。その上には質の良い上着を羽織ってはいる。
丸裸か。自身に取り付けられた"モノ"も考えればそいつは都合が良い事だった。こいつも纏めて消えてしまえば楽なもんだ。
ニヤリと笑って、煙草を咥えた。

「服はもったいねぇが、丸裸にされた方が都合が良い」
「…あん?」

左手の爪先で股間のケースを服の上からコンコンと叩く。肉を叩く音でも衣服の音でもない、硬質な音だ。
同じヘリに乗っているこいつらの言葉が止み、もう一度指を弾いてコンッ、と音を立てるとすごい顔をして見られた。

「……あー、そいつは風雷暴の趣味か?それともお前の…、」
「ちげぇよ、そんな性癖は持ち合わせていない。
あいつをしこたま抱きまくってたら、あいつの親父殿に取り付けられちまった」

オカマイタチとイアイアン以外がゴミでも見るかのような目でこちらを見てくる。
貞操帯なんてどう誤魔化して説明すりゃ良いんだよ。

「はぁ?嫁入り前に手をつけたとかそういう事か?」
「キャー、ナニソレ!詳しく聞きた~い!」
「……詳しくは言いたくねぇ」

他のヘリはどうだか知らん。だが、俺の居るヘリは奇妙な空気も乗せて、ヘリはZ市の近くまで飛んでいく。
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