第56章 54.
「…ああっ、僕には家族が居るのに…っ!大事な妹が居るのに…っ!うっうっ…、」
「うぇ~ん、ママー、パパー!」
泣き声に誘われて次に映される画面。
そこには茶色い髪の少年が目元を手で抑えて口をひん曲げている。恐怖からか体を震えさせ嗚咽を漏らしている。
次に映される画面。銀髪の女性。
口元に手を当てて肩を揺らしている。
『金ちゃん、ミカドくん、…ヒーローはきっと助けにくるよ!』
「でもっ、フウねぇちゃん…!こんな所特定出来ないよぉ~!」
3人がおーいおーいおい、と声を上げてすすり泣き慰め合う姿を映してから、怪人達が再び自撮りをし始める。
自分たちがこれからありつく食事となる3人を後方に映しながら。
画面には両端に怪人、中央に3人が映されている。端末を持ち直したのか、ノイズがザザ、と入り僅かに画面が揺れ、両端の怪人はニタニタと笑う。
変わらず、連れ拐われた3人はメソメソしている。
「おやおや?慰めあっちゃって…拉致られて仲良くなったのかな~?でも大丈夫でーっす、これからは肉片となってみんなで胃袋で仲良くなってもらうかんねー、寂しくないよ?」
「ヒーローがこんな所まで来るとか、絶対無い、無い!それまでに美味しく食べてあげるって!」
めそめそしながら再び慰め合う3人。少年が銀髪の女性の腕をつついた。
途端、さっきまでの空気はなんとやら。檻の内側から手を突き出し画面が青白く光る。
「ヒーローは来るよ…?」
『そう、実はここに居た、とかね!』
バチィ、画面が大きく揺れてローアングルから檻の中が映される画面。画面下には赤い汚れ、画面には焦る顔でカメラを見る猿の怪人。
「青マンボウ!?」