第55章 53.
順序について聞かれた。それについては私もその場の空気で行為を受け入れていたし…。というか、普通に合意の上で欲しかったし。
一呼吸置いてから、言葉を返す。
『その、子供が欲しいから作ろうかって…』
「「順序守(ろうよ!)れよ!」」
揃って言って、童帝君は口元を抑えながらあっ!という声を漏らして開き直った。さては全部聞いていたな…?
静かに聞いていた金属バットは前のめりになる。私はその圧倒的な威圧感に自然と薄暗い部屋の中、そっと正座をした。
「デキてから結婚するとか思うんじゃねーよ!というか完全に家族になる気しかねぇからよ、拉致られたくらいで嫌いになるわけねーだろうが!」
「そうですよ、結婚ってすぐするもんじゃないんですよ!?式をする場合には入念な準備が要りますから、何ヶ月も掛かります。もしお腹にお子さんが居たら、衣装も調整が大変ですよ!既成事実を作る必要はないですからねっ!
それに、ゾンビマンさん、ハルカさんの事しか考えてないから嫌いになるわけがないですって!」
年下にめちゃくちゃ説教されている図。私も順序くらいは気にしてたけど、そんなにすぐには子供が出来るとは思っていなかったし、童帝君のいう事は正しいんだろう。
けど、失態を重ねている私に愛想を尽かす事だってある。同じヒーローとして恥ずかしいはずだ。S級になってまで…って。
『いや、でも怪人協会のガロウの辺りでは私トんでたし、今回は拉致られてるし失態ばっかで、』
「どうせ会ったら速攻結婚しろって言って親父さんに貞操帯剥がして貰ったら寝床に連れてくだろ、ちょっとマヌケだなー、くらいで終わるだろ」
「金属バットさん!そこは計画をしてからお子さんを作るべきですから!」
ぎゃあぎゃあと賑やかになってくると、微風がふわっと頬を撫でた。
ぴくっと私が反応して、会話を止めるようにと片手を上げるとふたりも察したらしい。3人揃ってニヤリと笑った。