第54章 52.
「そうなんです、いつもよりも道具の少ない装備できちゃって……何となくですけど、僕たち拐われたと思うんです。
僕が思うにですね──、」
何者かに拐われ、幸か不幸か、一般人に見えなくもないヒーローを一般人としてここに連れてこられたのではないか?
そう、童帝君は推理をした。確かに一般人だわ。皆武器持ってないし。
『…あー、私の服や武器、協会に発注してる状態だったんだよなぁー…』
「俺は丸腰だけれどよ、お前は能力者だろ、ここから出れんじゃないか?」
『…ちょっと待って、作戦会議する前に索敵するから…、』
ぴゅうっ、と檻の中から微風を吹かす。
S級が3人も集まればなんとやら、だ。作戦会議が始まる。
一応、周りは静かであるけれども、声は小さくして私の風神の能力で索敵済みだ。
その索敵で何となく分かったのは、場所は分からないけれども怪人協会アジトのような、長い通路の一室、鉄の檻のある場所。
けれども似てるからといってZ市の地下とは限らないという事。
「ありがとうございます。僕の武器やロボは最小限しかなくてあなたに頼ってしまうことが多いかも…、」
『別に平気だよ。あと、バットの形状ではなくとも、檻を溶かして金属の棒程度には変形は出来るけど、武器作っとく?』
「…チッ、丸腰で足手まといよりはマシだ。それで頼むわ」
『ん、じゃあ会議終わってこの檻から出る時に武器作るよ』
裸電球のみが照らす中、私達は声を潜めて会議をしていく…。
ある程度作戦が決まり、決行する時を見計らいながらの雑談が始まった。