第53章 51.
おたまで味噌汁を掬ってお椀へと移す。そのお椀をお盆に載せる。
3人分に分けられた物を茶の間に運ぶ。運んだ先には朝届いた新聞を朝食時だからと畳んで机の下に置く博士と、少し眠そうに座っているアーマードゴリラ。
今日は私がご飯を作る、と言って麦の入ったご飯と、豆腐とワカメ、それからかき玉子を入れた味噌汁、焼き鮭に冷蔵庫にあった納豆と昨日の残りのひじき豆を持っていく。
たこやきの家は、洋食よりも和食が好きなんだろう、冷蔵庫の中身が物語っている。ジーナス博士は中身は高齢者らしいし…だから和食だ。
全員分を配置し終えると、アーマードゴリラはすぐに食べたそうにお箸に手を触れて、博士を見ている。その博士はというと…。
「ふふっ、これはまた良いサンプルだ……」
パシャ、と食事を並べてカメラに収めて居る。
何となくはこういうサンプル=親馬鹿という事に慣れてきた。
携帯をしまった所で揃っていただきます、と朝食を食べ始めた。
食器の音や、味噌汁を啜る音がテーブルで立てられる中、音量小さめにテレビが流れる。今朝のニュースはスマイルマンが怪人を倒した、からのニュースだ。
まだサイタマの部屋で寛いでいた頃の方が平和だったなぁ、凄く平和などうでも良いニュースとか流れていたし。
納豆を混ぜてご飯に掛けて食べながら、今日は昨日買ったもう一着の服にするか、と考えた。まだのんびりと部屋着であるパーカーであってデート用の服に着替えていないからね。
ライトグレーのワンピースに、下にはスパッツを穿いておこう。戦うことも考えて。上に昨日のふわっふわの服、着て行こうかな?やめようかな…?
「ハルカは今日もゾンビマンとデートなのか?」
『うん、流石に今日は遅くはならないとは思うけど…、』
ホテルに行くことは無いと思う。
何故なら盛り上がる環境があったとしても私に挿れる物が封印されているからだ。例え指で済ますとしよう、それでゾンビマンが昂ぶったらどうなるか?
答えは封印した器具の中のトラップに苦しめられるという事だ。