第50章 48.
「ハルカ、俺が銃撃する。もし出てきたら雷神でやれ。相手はデカいから、風神よりは良いはずだ、俺ごとでも良い。
俺が攻撃してる間は路地裏の直線上にならないようにしろ、攻撃されるからな」
『…ん、了解した』
路地裏手前の建物に背を着け、銃を構えるゾンビマン。
路地裏が見えない、少し手前側で私は待機した。すぐに放てるように両腕に貯める。2発ならすぐにぶち込めるようにしとこう。
ドンッッ!と一発撃ち込まれ、薬莢が小石に当たる音。
路地裏の方から何かがドタドタと暴れる音がする。私は路地裏を見ていないけれど、路地裏にはゴミが溢れているのか、時折缶が転がる音も聞こえた。
一発撃ったのが当たったのを確信したゾンビマンはもう一度路地裏に銃を向けて打ち込む。
ドンッ、ドンドン!
カラカラカラ、と薬莢が転がり終える音で静まる。
両手は攻撃のスタンバイ中だ。だから口でふぅ、と風を吹く。ぴゅう、と吹き返す風は知らせてくれる。
『…まだ生きてるよ、確認に来るのを待ち構えてるんじゃない?』
「チートじゃねぇか、それ…」
『……いろんな協力の末の能力ですけどね』
腕だけを路地裏に突っ込んでゾンビマンは数発打ち込むと、またドタドタ暴れる音。
今度は近付いてくる。路地裏から出てくるようだ。ゾンビマンは腕を引っ込めて、私を見る。
トカゲの頭が見えた瞬間、私は準備していた雷を打ち込んだ。