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欠落の風雷暴

第50章 48.


ちょっとした時間に探しても何体かはヒットする。怪人協会アジトに攻めた後でも、だ。
それは常に怪人が出ているって事だ。他の2箇所はどうしようか、なんて考えながら現地に辿り着いた。

「ハルカ、察知した敵はどこに居るんだ?」

ゾンビマンは私の荷物を道の端に置きながら、周りをキョロキョロと見て確認する。
ぱっと見て人通りは多く、悲鳴などはなく。穏やかな日常そのものである。
私やゾンビマンが一緒に行動しているのを見て、気付いた人が反応するくらいだ。

『結構、こんな状態でも隠れているんだよね』

風を起こすと巻き上がって、近くの女性がロングスカートを押さえる。私はキュロットスカート…、でも風であまり捲られれば危険だ。
片手で軽く押さえ、戻ってきた風の情報を感じ取る。

『そこ。そこの路地裏に居るよ。災害レベルは鬼くらいかな、そんな感じ…、どうする?』
「おう、分かった。ちょっと覗いて見る」

手でここで待って居ろと制止し、ゾンビマンはコートの中から斧を引っ張り出す。
黒いタンクトップに巻きつけられたベルトは、刀や斧などを固定するためにたくさん着いているのだけれど、ずっと着けてるのは重そうだな…。
そう思いながらも、路地裏に近付いていくその後頭部を見守る。
近付くにつれ、私も片手に電気を僅かに貯める。パチ、と指先から音が鳴った。

ザン!
凄まじい勢いだ。あっという間だった。
本当に怪我がなくて良かった……一般の人達が。

先程の大きな音は路地裏から一閃、空から地面に掛けて何かが振り下ろされた音だった。ブン、とも聞こえたかも。
いや、音なんて気にしてる場合ではない、近づいたゾンビマンは身体を右と左で分けられて仰向けに倒れて居る。ドチャ、と血液を流して切断された体は左右におよそ5センチは離れている。
地べたに大量の血と、腹部から臓器が溢れていた。声も出せず、目や口は動くけれどまあ、再生力のおかげで生きているわけで。

路地裏に潜む何かの動向に気を付けながら、その倒れた人物に駆け寄る。一般市民も周りにいるから、避難させないといけない。
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