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欠落の風雷暴

第49章 47.


「やっと着いたか…、飯食ってすぐに移動するもんじゃねぇわ」

『だから普通に私だけ移動すれば良かったんだけれど。帰りはどうすんの?』

屋上の手すりに両手を置き、空を見上げる。
良い風が吹き、上空の雲がゆっくりと動いている。
のそのそと階段を登り終えたゾンビマンは肩で呼吸をしながら私の隣の手すりに同じく両手を置いた。結構乱暴に、バン、と衝撃が伝わる。

「いや、天空族みたいなやつも居るんだ、武器なしのお前をひとり行動させたくはない」

『心配されるのは嬉しいけれど、私結構強くなったと思うんだけれどなぁ』

手の平を上に向けて風を起こす。近くの風から風へ伝わっていくように吹いていき、しばらくすると吹き返してくる。
ふんふん、なるほど。今私の居る状態からだと2時の方向、4時の方向と8時の方向。一番近いのは2時の方向か。

横を見て、面倒くさ気な顔をしている男に伝えると、2時の方向を黙って指差した。
まあ、移動距離考えればね。

『で、私はこのまま下に"降りる"けど66号は階段を降りるの?』

「……俺も降りるわ」

聞いた瞬間に、あっ!という顔をして、真顔になって諦めた顔になる。降りること考えてなかったな、この男は。

『先降りる。どうせ飛び降り自殺考えてるんでしょうけど、風神の力である程度掛かる負荷消せると思うんだよね』
「昨日のアレか、それは助かるぜ…」

手すりを飛び越え、地面に向かって落ちていく。風神の力で風を地面に向けて起こし、軽く着地をした。
上を見ると、手すりを飛び越え落ちてくるゾンビマン。風を起こして負荷を減らしてあげる。
怪我なく着地したゾンビマンは私の頭に手を置いて撫でた。

「おー、良い感じだ。ありがとうな」

『…どういたしまして』

目的地が分かった所で私達は少し早めに歩み出す。目指す場所は怪人の居る場所だ。
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