• テキストサイズ

欠落の風雷暴

第49章 47.


食後、歩いて建物の屋上へと上がる。建築関連のビルで、いつもの私なら簡単に屋上を飛び回れるけれど、今はゾンビマンが居る。
情報収集だけの為に私だけ上がって軽く風を流せば良いんだけれど、心配性なのか一緒に行くと聞かず。
私にいくら体力には自信あっても、それは戦う方向であって人を抱えて移動はキツい。
そこで徒歩で向かう事となった訳で。

「まだ上がんのか、これ…」
『自分で上がるって言ったんでしょ、しかも非常用の階段から』

ビルの外側についた階段を登っている。
私としては地べたでも情報は拾える。ただ、全体が見えるとより場所や距離がはっきりと分かる。Z市の瓦礫だらけの時はとても情報を拾いやすかった。あんな状況、そうあって欲しくはないけど。
登りながらピュウ、と微風を吹かす。あと4階登るそうですよ、運動嫌いのゾンビマンさん。

『…夜ばっかじゃなくてこういう時にこそ体力使えば?』
「あ?その口、何も言えねぇ様に塞いでやろうか?」

階段の手すりに腕を掛けてちょっと休むゾンビマン。その手には煙草の箱。もう片手は私の荷物だ。

『煙草吸うからこうも体力が…、』
「チッ、」

悔しそうな顔をしてる。多分いつものクセなんだろうな。つい吸いたくなっているんだろう。
私も生命維持行為をしている限りは死なない。煙草吸っても副流煙でやられないと思うんだけれど。

『別に私も死なないようなもんだし、別に吸っても良いんじゃない?』

ゾンビマンは煙草をポケットにしまい、階段を登って来る。

「あ?俺はハルカの前では煙草は吸わねぇよ。いつ出来るか分からねぇ腹のガキに影響もあるし、それに吸うとしたら煙草よりもお前の乳首を吸うわ!」

『…その話はやめて、声でかいし。次猥談したら雷落とすよ?』

さくさくと登っていくと、重そうな足音が追ってくる。
履いてるブーツもいかつくて重そうなんだよなぁ、と時々止まりながらも屋上へと上がった。
/ 214ページ  
スマホ、携帯も対応しています
当サイトの夢小説は、お手元のスマートフォンや携帯電話でも読むことが可能です。
アドレスはそのまま

http://dream-novel.jp

スマホ、携帯も対応しています!QRコード

©dream-novel.jp