第47章 45.
白くてふわふわとした服に、ベージュの膝上のキュロットスカート。靴は流石にフブキみたいに踵の高い靴は挑戦出来なくて、ふくらはぎ程の丈の焦げ茶のブーツ。そして、ブーツよりはちょっと丈のある黒い靴下。
ふわっふわの白い七分丈の長袖は、番犬マンを思い出したからだ。ふわふわしてて着心地が良い。また、私自身の静電気の調整が出来る分、ちょっとだけど充電されるような気もする。
着ていた服と購入した服の詰まった袋を持って店の外に出ると、煙草を吸っていたゾンビマンが振り向いた。
自身の手の甲で火を消し、携帯灰皿にしまう。
そして静かに私を見る。
『ど、どう…?』
くるんとその場で一度回って見せた。下から上を見て、上から下へと視線が行く。
ふん、と笑って片手で私を見ないようにと自身の目を塞いでいる。
「……とりあえず、ホテル行くか…」
『どういう感想だよ…』
反応を見るに、変ではないみたいだなぁ。
目を塞いでいた男こと、ゾンビマンは私の手からさっさと袋を取り上げて、もう片手を差し出した。
ゾンビマンの顔を見上げると、口元は僅かに微笑んでいる。
「ほら、食事に行くぜ、レディ?」
その手に触れると、私よりも少しばかり体温は低く、手の平はゴツゴツとしていてさっきも手を繋いだはずなのにそれ以上に気恥ずかしかった。
でも、なんだかとても安心して、嬉しくて。堪えたくても堪えきれずに、顔が緩んじゃうんだ。
私をじっと見たゾンビマンは鼻で笑って、繋いだ手毎、自身のコートのポケットに入れる。
手に何かが当たった…ビニールと言うか、紙袋に入った何か。コートのポケットは大きめであるから、買ったものを突っ込めたんだろう。
「ポケットに何、入ってると思うよ?」
『んー、煙草にしては角もなく、棒状のものでもなく…柔らかいような気も…』
「さっきの服屋で選んだやつだ」
斜め上を見ると、勝ち誇ったような笑みを零している。
こいつ…!私が店を出ていろって行った時に、いつの間に買ったんだ…!
「夜まで待てねぇな?」
そう行って、足取り軽やかに、洋食屋に入店するのであった…。