第46章 44.
『ところでなんで66号は、いつもと同じ服を用意できるの?』
とりあえず買い物をしよう、と歩いて向かいながら話しかけた。
ボロボロになったり、服を無くしたりしているのにすぐに大体同じ服に着替えている。不思議だった。
「しょっちょう服を消し飛ばされたりしてるんでな、防具より着替えを用意して貰って居るうちにあちこちの協会に俺の着替えを用意してもらえてるようだな」
『……へぇー』
「お前も俺みたいなもんだろ?だったら着替え用意して貰えば良いんじゃないか?白い服とインナーは黒い上下、下着は上下黒とか紫とか赤とか、」
『下着にあんたの趣味を押し付けんな!』
私が身につけてる下着はこいつの趣味だとはっきり分かったわ。
血液汚れは目立ちにくいけれども、違うものは存在がはっきりと分かるから嫌だ。トイレに行くと、私の分泌物やゾンビマンに出され、ゆっくりと降りてきた精子が黒い下着で主張している。
終わった行為であったも、それをみると下半身はきゅん、と僅かに反応する。あと、普通に洗濯前の手洗いが面倒くさいのもある。
汚れないようにするやつもついでに買うか、とため息を吐きながら、たこ焼きの家から少し寂れた道を進む。
「ほら、手出せよ。デートらしく手を繋ごうぜ?」
『……ん、』
立ち止まって出された手に手を差し出すと手を繋がれる。
指の一本一本ですらも彼を感じる。プラトニックな関係であればこれでだけでもドキドキしているだろうに、私達は段階をすっ飛ばしてからのこれだ。ある意味新鮮でドキドキとしてしまう。
初めて手を繋いだのは10年も前だ。
私は子供だった。今では19という年齢で固定された、不死に近い存在。人間と言えるかは人それぞれ。それでも、こんな恋愛には弱い訳で。
布の擦れる音。少し屈んで顔を覗かれてしまった。