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欠落の風雷暴

第45章 43.


「休む事も必要な事だよ。ハルカは毎日戦ってきていたから、リメイク前は特に臓器の劣化が激しかったんだ。今は平気と言えども、戦う事なくゆっくりして休むという事を覚えなさい」
『は、はい…』
「なんで博士の言うことはしっかり利いてんだよ!」

あぐらをかいて頬杖をつき、片手で机を指先でとことこと叩きながら文句をたれるゾンビマン。
仕方ないでしょうに、親なんだもの。
そんなゾンビマンを見かねてジーナス博士が私に言う。やや呆れ気味に。

「二人でデートでもしてきたらどうだ?ハルカは必要なものがあるだろう?買い物もしてくれば良いし、そこの仏頂面な男も付いているなら安心だろう、娘に種付けする奴だがボディガードくらいにはなる」
「ほーお?」

机を指先で叩いて不服を表すのを止めた隣の男を見て、私から付け足す。

『デート行くのは構わないけど、"休憩"とかはナシの方向でね』
「ああん?」

不服さをとことこと態度で再び示す。
…別に、するならしても構わない。起きて早々での行為は時間の関係で切り上げたってわけで満足はしているけども、やるかと言われれば出来る。
でもせっかくならばそれ以外も楽しみたい。

「出かけるなら一緒に行っておいで。帰りが遅くなる時は夕飯までには家に連絡を入れなさい。携帯に私の連絡先は入れてあるからね。
ゾンビマンはハルカに無理させないように。いいかい?ハルカに、無理をさせないように」
「なんで二度も言うんだよ」

本体にちょっと傷が増えている携帯を持ち、連絡先を開く。
"お父さん"という項目が入っていた。それを見て、ちょっとうれしくなって、にこりと笑ってしまった。
途端にパシャ、という音。

「……貴重なサンプルだ、保存させて貰おう」

「何がサンプル、だよ…ただの親馬鹿だろーが…」

立ち上がり、私の腕を軽く掴んで立ち上がらせるゾンビマン。
いつものコートを羽織って、準備万端のようだ。私はいつもの服はボロボロで全て廃棄、かつ部屋が昨日の事で崩壊してるので多分ゾンビマンが買ってきたであろうパーカーだ。
オフの時のサイタマみたいだなぁ、と思いながらポケットにややボロくなった財布と携帯を詰め込んだ。

『それじゃあ、行ってきます』

「ああ、行っておいで」

ほっこりとした挨拶だ。ニヤけるのを我慢しながら二人で実家の玄関を出た。
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