第45章 43.
朝食を終えてのんびりと過ごす。クローンのままの身体であれば病院であったろうに、今では再生力のお陰で体に傷一つ無い。
アーマードゴリラがたこ焼き屋の準備を整えて店に出ていき、茶の間には私とゾンビマンとジーナス博士が残された。言葉は無く、テレビが室内に垂れ流されている。
──かつて過ごしたZ市の報道が流れている。
参加したヒーロー達のリストやら遠くからの戦闘映像、被害状況などが流れている。
そういえば自分の戦闘能力について悩んでいた時、なんとなく怪人を倒すのを早めに切り上げてたりしたな。あの日が自分の部屋とサイタマの部屋を最期にした日だった。
サイタマとジェノス、部屋どうするんだろう?私よりも私物の多いサイタマだ、ショックが大きいだろうな。
体力も万全だし、怪人でも狩ってくるかな、と腰をあげようとすると、途中で手を掴まれてまた座らせられた。こんな事をするのは隣に座るゾンビマンだ。
「生身で行ってどうするんだ、今日くらいのんびりしろ。お前はずっと一人で戦ってたんだ」
『でも、』
「それに、だ」
私の着ている服を摘んで引っ張る。
自分でも流石に分かってる。いつも着ている服が無い。身につけているのは風神の骨が僅かに入ったペンダントのみで服も脇差も、おまけに銃も無くなっている。
脇差はあの気持ち悪いおっさんをひたすら殺し続けて居る時に壊してしまったのは自覚している。とても大切にしていたのに、乱暴に扱ってしまったのはいけなかった。
でも銃に至っては分からない。瓦礫のどこかに落としたのか、知らないうちに壊してしまったか。
「服と武器、ねぇだろーが。昨日しっかりと怪人を倒してたんだ、協会に頼んで何もかも新調して貰って、最低でも今日は丸一日休め。休暇も仕事の一つだ」
『……えぇー?』
なんかそう言われると余計に外に出たくなってくるな、と思えてきた。
生身でも普通に戦えるしなぁ、少しくらいは出ても良いような気もする。