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欠落の風雷暴

第40章 38.


「大怪我に、パンツも丸出し…、履いてないよりはまだいいか…よくねぇけどよ。お前、こんなになるまで無茶すんなよ」

つるつるの頭を手袋のままで掻いて、サイタマはガロウの所へと向かっていった。
私もただ無様な姿のままにここに居られない。"前に決して出るな"…そう言った彼は瓦礫の上で殺されて横たわっている。
戦えずとも、側に居ることは出来るから、ゆっくりと近付いていく事にした。
遠くではフラッシュとガロウが残像が僅かに見える程の、早すぎる戦いが行われている。私がそこに割り込む気力も戦力もない。そんな場所にサイタマは足取り軽く進んで行くのを視線で見送った。

ズザ、と瓦礫を足を引きずりながら歩く。足取りは非常に重く、大きな瓦礫を飛び越える力はあまり無く。なるべく幅の近い場所から進んでいった。
倒れたゾンビマンは再生中の体のまま、迎え撃つな!と叫んでいた。

この人の側まで来れた。ああ、これで安心だ。
ゾンビマンの側に辿り着き、力なく両膝から瓦礫に着き、座る。

「…ハルカ、前線になんで来て、」

限界を迎えた。食べる物もなく、この場で交わる事も出来ず、戦えず。最後の手段というべきか、体の再生力は残った生理的欲求を取った。"睡眠"だ。
そのトリガーが恋人の側だった。様々な恐怖と怒りと不安。そこからも解き放たれる安心する存在の側だったからだ。
力が入らない。そのまま体を硬い瓦礫に倒した。硬くて最悪のベッドと枕だ、でも痛みを訴えることも文句を言う力も残っていなかった。

私の名前や、何かを叫ぶ声が聞こえたけれど、何も言うことが出来ない。
そのまま私は意識を落としていった。
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