第40章 38.
限界だった。
風神・雷神の力を使い続け、怪我もし続けた。死にはしなくても、体力の回復は遅く、早く再生する手段はもう残されていない。
ゾンビマンも聞いているだろう、私が初めてを奪われた相手がどういう奴かを。衝動のままに復讐を果たしたものの、ぽっかりと胸に穴が空いた気分だった。どうすればこの喪失感を埋めることが出来るんだろう?
ゾンビマンの去った方向を見る。皆ボロボロでありながらガロウと戦っている。
そして、アトミック侍も豚神も丁寧に一人ずつ倒されていく。ゾンビマンも。皆強いS級・A級でありながらあっさりと、だ。
タツマキも倒れてしまった。
そして、ガロウは視界に入る最後の獲物であろう、私の元へとゆっくり確実に迫ってきている。
『(こんな状況でも、戦った所で……、)』
戦意喪失。
この絶望の中に、地響きを感じ取る。
座り込んだ瓦礫の下、何かが上がってくる響きだ。
ガロウや私の見える範囲、瓦礫がボコッと破裂する。瓦礫の間欠泉のようだ、周囲に破壊された瓦礫が降り注いでいく。
そこから飛び出したのはヒーローのフラッシュだった。
そのフラッシュと共に出てきた人物に見覚えがある。最後に会ったのはいつだったっけ。
『さい、たま…』
フラッシュがガロウに素早く斬りかかる。
サイタマは私の声に気づいたのか、周囲を確認するのを中断してやってくる。
「久しぶりにあったらお前血だらけだし、ボロボロだし、どうしたんだよ…」
『……』
「ウワッお前、ち、乳丸見えじゃねーか!隠せよ!」
『んなもん、言われても…』
隠すものなんてないし、と手首の無い両腕を出し、血まみれの服を再生中の手首で叩く。