第38章 36.
「おいおい、光の玉を撃つ気か?光の玉を撃ってみろ、爆発でお前も致命傷を受けるだろうよ」
「く、黒い精子っ!こいつを引き剥がせ!今度は肉骨粉にして牛の餌にしてやる!」
仲間を呼ぶが、その仲間はこっちには来ない。
一度こちらを見るも、無視を決め込んでいる仲間達。それに焦る、命の手綱の握られた男は叫んでいる。
「早くしろぉぉぉ!」
「俺を散々殺しておいて、いざ自分がやられるという時に仲間を呼ぶとは、どういう事だ?あ?」
ミシミシッ。掴む首が汗で滑る。滑って離さないようにより強く締め上げた。
「人の女を回すとか抜かしやがって…、」
視線をハルカの方へやる。
笑い声を上げていたり、何かを叫び続けながら、周囲の誰もが近付けないような、ハルカを中心に青白い電気がパチパチと飛び散るのが見える。
そしてずっと折れた刀でひたすらに肉塊を攻撃し続けていた。
壊れてしまった彼女から目の前の敵に視線を戻した。まずはコイツが先のようだ。
───
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「今更人質だなんて無駄に粘るんだなぁ、お前らもよ」
地べた…いや、瓦礫に押さえつけた敵を確認しながら、一般人の子供を人質にする黒い精子を眺める。
あんなに居た黒い精子もタツマキによって軽く捻り潰されていった。あまりの強さに敵もやけくそになって突撃して散るくらいだ。
最終手段として人質を取ることにしたのだろうな。