• テキストサイズ

欠落の風雷暴

第38章 36.


近くからヒールの着地音、タツマキやハルカの声ではない、女の声がする…。

「私を越えたつもりでいたの?一対一よ、かかってきなさい」

「なんだ?相手はB級の小物ではないのか?」

女の声はフブキだ。そして俺が戦っていた、光の玉を出す敵の声だ。ハルカの能力で塔の側まで来たのは良かったが、こいつのせいで瓦礫に埋もれる事態に陥ってしまった。
再生し、潜伏していた体で背後を取る。銃も刀も斧もない、槍もサイコスの乗っていた機体に投げつけたから無い。今はこの身一つだ。

「いイッッ!?」
「やっと捕まえた」

相手の首を背後から捕まえる。
その手から逃れようと、俺の手を掻きむしるも、その程度の傷は修復してチャラになる。

「ゾンビマン!?あれだけやってまだ生きていたというのか!」

散々な目にあった。
確かにここのアジトで血はともかく汗を流すのは苦手とはどこかで言った。しかし、再生力が追いつかない程に光の玉で攻撃され、血を流し続けた。
情けない事に、助けるべき時に助けられない状態にもなった。

「流石に効いたぜ、三途の川がはっきり見えた。
だが俺は泳ぎがてんで駄目でな、川を渡るのはまだ難しいようだ」

こいつを掴む手から、ミシミシと音を立てている。俺にも鉄の棒くらいはへし曲げる事だって出来る、首が折れるまでは秒読みだ。
そのまま正面を取って、瓦礫に叩きつける。

「残念ながら、まだしばらくは死ねそうにないな」
「ぐっ!」

形勢逆転ってやつだ。
余裕ぶってた表情から、その余裕がなくなり、呼吸が荒いのが伝わる。
/ 214ページ  
スマホ、携帯も対応しています
当サイトの夢小説は、お手元のスマートフォンや携帯電話でも読むことが可能です。
アドレスはそのまま

http://dream-novel.jp

スマホ、携帯も対応しています!QRコード

©dream-novel.jp