第37章 35.
「なんつー下品な言葉を使う奴じゃ…っ、
む?ジェノス君、後ろだ!」
「…っ、ハルカ!油断は絶対にするなよ!」
バングとジェノスは背後へと攻撃を始め、私から離れていく。ブサイクな男だけじゃない、怪人協会の敵はまだ複数おり、ヒーロー側の戦力も足りていない。
ここでは一対一だ。
頭の方で何かがプツリと切れた気がした。
『……お前は私に感謝をするって言ったな?そう、私もたった今感謝してるよぉ…、お前を過去に殺したら殺人、今はヒーローが怪人を退治って名目になる……
罪を贖ってもらおうか、テメーの死を持ってな!』
背後ではジェノスやバング達がこれまた違う怪人と揉めている声や、戦う音が聞こえる。複数の同じ声、黒い精子達だろうか。
サイコスまでもか怪人に手助けをしているようだ、何か叫んでいたけど、どうでも良い。
瓦礫を走る。巨体に目掛けて体に雷を纏う。
武器を持て、構えろ。立ち向かわずして、ヒーローと言えるんだろうか。あの頃のままに恐怖で震えるべき?いや、違う。
顔の表面がピリピリするほどに、威力が高まっている。急速に空腹を感じた、再生もあるけれど、雷神の能力を高めているからだ。
バリバリと周囲に撒き散らす放電。もう、私は目の前の敵しか見えていない。
「んぎゃあああっ」
片手を焼き切る。血飛沫、肉が雷で僅かに焼ける匂い。
「てめ、このアマァ!んギャッ」
もう片手を風で切り裂く。
感電させる。
切り裂く。焼き切る。また感電させる、切り裂いて焼き切る。