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欠落の風雷暴

第37章 35.


「フブキの、タツマキの念が途絶えたっつーからてっきり片付いたもんだと思ったぜ。ガロウの気配は全く感じないがネバネバした殺気でわかる。どいつもこいつも一級品の危なさだ。
作戦が上手く行き過ぎたと油断をしちまって、まさかの災害レベルの高い怪人どもの合流ったぁ、想定外でな、判断を誤った。おかげさまでみーんなボロボロだ。
ピンピンしてるワシが責任を取ってこの場は引き受ける、それで良、」
『まって』

バングが割ってきて、一発食らわせたのは有り難かった。震える体で立ち上がって、バングの追撃を制止させた。

「ハルカ、そんな震える体で返り討ちにはならないか?」
「ジェノス君、彼女は恐怖で震えているとは違う。漏れ出す殺気は本物じゃ」

ふつふつと湧き上がる感情。
そう、怒りだ。サイコスでみた、あの震え…怒りによる震え。全身の血液が沸騰するように熱い。

『バングさん…私にも責任がある。私が無力だったばかりにこんな醜い野郎を怪人化させたようなもの。ここは私が死ぬ気で狩る。ジェノスも、それで良いよね…?』

呼吸が荒くなってきた。今にも殺しにかかろうとする獣みたいだ。獲物に飛び出しそうなのを自我で抑える。

「……お前が過去に縛られる理由なんだろう。俺が暴走サイボーグに抱くようにお前にも向き合うものがある」
『そう、ね…過去だけじゃないよ。こっちはすでに痴女みたいな姿にもされたんだ』

乾いた笑い声が、私の口から漏れた気がした。
スパッツが見当たらない。無くされた、もしくは引きちぎられたんだろう。上半身は、水にやられた部分はボロボロだけれど手はつけられていない、でも下半身はパンツだ。
いつもよりもすーすーとしてこれを聞いてるジェノス、バングともうひとりの老人の視線が向けられた気がした。今は羞恥心なんてない。

ニチャ、と笑うブサイクは顔をますます変形させる。

「反抗的な77号チャンにはもれなく手足を引きちぎって、特製の専用オナホにしてやるな、がはははは」
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