第36章 34.ブサイク大統領の発言が激裏
「ハルカっ、動けないのか!?」
『ぐっ、…ううゥ、…ゴボェ』
超能力で拘束された身体、というよりも力が抜けたようだ。お腹も減っている。
減っているのに、過去と今からされるだろう、出来事に想像だけで気持ちが悪くなり、瓦礫に胃液と胃に残った僅かな吐瀉物を撒き散らす。
ブサイクはそんな様子でさえも嬉しそうだ。下卑た笑みを浮かべている。
「おやぁ?77号チャン、想像妊娠しちゃってつわりかな?ン?じゃあ、本当のつわりを味あわせてやるよ!さあさあ、脱がせて挿入ターイム、ゲヘヘ…、イイ身体付きに成長して、俺は嬉しいぜ?安産型だねぇ~、いっぱいガキ作ろうな~?」
倒れた体に触れ、お尻を撫で回しながらスパッツを剥ぎ取る。あの時のように下着ごとではない、じっくりと楽しむのだろう。
『……あ、…ああ、…っ』
恐怖で全身がカタカタと震えた。近くに知人も、友人も、恋人が居る中で動かない私を犯すのだ。ジェノスしか動けないんだ、そのジェノスさえもボロボロだ。
誰か、助けて。その一言も言えない。助けて、助けて…お願いだから助けて!
舌を噛んで死ぬことも出来ない。再生力のある体は死ねないのだから。
絶望だった、私には、もう…──。
走り寄る音。
私に覆い被って、更に脱がそうとする醜い男の顎が急に上向きになる。ゴキ、と骨の鳴る音が聞こえる。
その原因を作った人物を仰ぎ見た。
「チッ、首から上を上空に蹴飛ばすつもりで蹴り上げたんだがな、お前も相当強いっていうのか、なんとも嫌になるな…」
ギシッ、と軋む体。その急な動きでか、小さなパーツが外れ、瓦礫に落ちて隙間に入り込んでいく音。ジェノスが蹴り上げたようだった。
ただ、私は涙を流してそれを見上げていた。
「ハルカ、自分に喝を入れろ、こいつなんぞに良いようにされるな!」