第5章 3.(激裏)
「今すぐに会いたい。ホテルに来てくれるか」
ど直球な電話を受けた。
内容が内容なだけに返事に困る。だってこの場にはサイタマがいるし。電話の返事をマイルドにして返さなくてはいけない。私は必死に言葉を選んだ。
『随分とまあ…ストレート過ぎる内容だけど…』
「内容が内容なだけに、デート気分で言うもんじゃねーんだ、だったら2人になれるホテルがいい。来れるだろ?」
内容とかよりも、下半身の問題の解決では?
その言葉を私は頭の中でほぐして蹴散らす。サイタマが何事か?とこちらをガン見していた。
『分かった分かった、今から行けば良いんでしょ』
通話を切って軽く身支度を済ませた。といっても、財布に携帯は持ってるし、服には相棒の脇差と銃。壁にかけていた脇差を持ち出したくらいの身支度ではあったけど。
「出かけんのか?デートか?」
またかよ、と言わんばかりの表情でサイタマが言う。
結構頻繁にデートをしたり外泊をするから、だろうな。うち、生理中以外のほとんどが今から向かうような場所で性行為をしているわけなんだけれど。
「雨予報らしいぞ、傘でも持ってけよ。風邪引くぞ」
『ええ~…雨降るの?やだなぁ…』
私が使っていた湯呑みをキッチンの洗い桶に入れた。
部屋にポンチョ型の白いレインコートがあったな、あれを持っていこう。
風神の白フードの件もあって、勘違いされないようにと背面には協会のロゴが入っている。宣伝にもなるし、私は誤解を受けなくて済むし、生地もなかなか良い物を使っていて、いい事尽くしだ。
自室に戻る前に、サイタマの部屋から出る。当たり前の光景だった。
『いってくる』
「おう、気をつけてな」
空を見上げると、灰色の空。空気は湿っぽい気がする。
ポンチョを取りに行き、先に羽織って風神の力を使って移動を始めた。
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ホテルの前にやってくると、ゾンビマンは親指で今から入る建物を指す。
せっかちな奴め、と思いながら私も階段を登り、部屋へと上がっていった。