第1章 壱
即座にその場に片足を付き頭を垂れる。
階級が癸である紅音は鬼殺隊に入り間も無いこともあり、九名の柱の存在は名前以外知らなかった。
『煉獄様、先程までの無礼な発言、大変失礼いたしました。』
よくよく考えれば階級だけでなく、歳だって上に決まっているというのに、敬語も使わずに話してしまった。
いくら柱である事を知らなかったとはいえ先程までの態度は許されるものでは無い。
杏「よもや!その辺はまぁ大丈夫だ、顔をあげなさい!ただ、他の柱には気をつけるように、気性が荒い者もいる。」
杏「それより紅音、俺の継子にならないか?」
真剣な眼差しで見つめられ僅かに狼狽える。
こんな私でも日輪刀の色を変えられるのだろうか。
強さを手にすることができるのだろうか。
『こんな私でも強さを手に入れられますか?』
杏「なれるとも!呼吸の基礎から全て教えよう!!」
絶望の淵から手を差し伸べてくれたこの人を信じてみよう、にこやかに笑いながら手を差し出した炎柱様の手を握る。
『よろしくお願いします。』
杏「うむ!鍛錬は辛く苦しいものが多いが共に頑張ろう!」
『強くなって誰かを守れるのなら、苦しくても鍛錬も耐えてみせます。』
杏「その気持ちがあれば大丈夫だ!さっそくだが継子になったからには紅音の住まいは今日から俺と同じ所になる。俺はここで待っているから荷物を纏めて来てくれるか?」
『わかりました。』
これといって特に荷物なんてないが必要なものは揃えておこう、師範にお辞儀をしてその場を後にする。
少しだけ胸が踊っていた、こんな私でも強くなれると力強く答えてくれて受け入れてくれる人がいたから。