• テキストサイズ

夢幻-改-

第1章 壱





?「君が助けることの出来なかった隊士に失礼になる。だからその先の言葉は言ってはいけない。その者を思うのであればその者の死を糧に強くならねばならない。」



大きな瞳と視線が交わる。
燃え盛る炎のような、でもどこか温かい綺麗なその瞳に息を飲んだ。
それと同時にこの人の人として、隊士としての強さを改めて感じる。



?「目を背けたくなる現実だっただろう。俺も最初はそうだった、だが、悲しみ嘆いてる間にも鬼は動いている。少しでもそうなるのを防ぐ為に前を向かねばならない。」




彼の言葉は私の胸に深く突き刺さった。
救えなかった隊士の死を引き摺るのは、己の強さに繋がらないと彼は教えてくれのだ。



彼のような強さがあれば私の日輪刀の色も変わるのかな。



『貴方のような強さがあれば私の日輪刀の色も変わるのかな。』



ぽつりと呟くように出した言葉は彼の耳に入ったらしい。
勢いよく肩を掴まれ驚いた身体はびくりと跳ね上がった。



?「ところで君の名はなんという!!」



ビリビリと鼓膜にも響くような大きい声で名前を聞く意味って…。
塞ぐにも肩を掴まれているため塞げなかった。



『彩羽 紅音…』



?「紅音!強さを求めるか!!ならば俺の継子になるといい!!!」




『つぐ…こ…?』



継子って弟子になれってこと…?
えーと、私がこの人の?っていうか今更だけど誰なんだろうこの人…。



肩を掴まれながら思考を巡らせていたら任務を終えた隠が彼の前に現れた。



隠「炎柱様、頼まれていた任務が完了致しましたので私達はこれで失礼致します。」



?「うむ!ご苦労だった。」



隠の言葉に私は目を丸くした。
柱…?柱って甲の中でも最も優秀な隊士と言われている…?



彼の存在を知った瞬間、先程までの無礼な態度や馴れ馴れしい発言にサッと血の気が引いた。






/ 9ページ  
スマホ、携帯も対応しています
当サイトの夢小説は、お手元のスマートフォンや携帯電話でも読むことが可能です。
アドレスはそのまま

http://dream-novel.jp

スマホ、携帯も対応しています!QRコード

©dream-novel.jp