第4章 憲紀君
ストレートな言葉に胸が熱くなる。
『か、書く!
けど…あの…今日、憲紀君のこと、たくさん教えて?』
「その、つもりだ。
琴音のことも全て知るつもりで来ている。
…身も心の内も、全てだ」
普段とは違う、低く男らしい声が私の耳元で囁かれて、背中にぞくりと電流が走ったような感覚に襲われる。
身も、心も…?
目を見開いて固まったまま動けずにいれば、手に持っていたペンを憲紀君に抜き取られ、再び彼の口が開く。
「やはり、これは夜でいい。
これからは憲紀と呼んでくれ。
それから…話すときは下でなく、私を見ろ」
『!え、待っ…んっ…』
そう彼が言った強引すぎる提案…というか命令?を頭の中でシミュレーションするが、恥ずかしすぎて、左手で口元を手で覆う。
しかし顔を隠せたのは一瞬で、左手首を優しく掴みあげられて、彼の片目と目が合う。
逃げ、られない!
「呼べ」
『…の、のり、と、し』
「こちらを、向いてはくれないのか」