第4章 憲紀君
憲紀君がしゅるりとリボンを解き、箱を開かれる。
中に輝くシンプルで綺麗な宝石に、ぱさりと手に持っていた封筒を落としてしまう。
うそ…。
『…これを、買いに、行ってたの?』
「あぁ、そうだ」
震える声で聞けば、優しい声で言われて、何故だか目が熱くなってしまう。
決められた相手である彼に、まさか、こんな素敵な事して貰えるとは思っていなかったし、
そもそも、指輪を手にしてプロポーズをしてくれる男の人なんて、絶滅危惧種だと思っていた。
嬉しすぎて掌で口元を覆えば、
『嬉しすぎて…どうにか、なりそう…
…私も、憲紀君の側に居たい、です』
そう、なんとか口を開いて、空いている彼の手を握る。
フッと笑った彼の顔がゆっくり近付き、自然と重なる唇から幸せが広がっていく気がした。
『これ、付けて?』
そう左手を差し出せば、綺麗な彼の手が、私の薬指に指輪をはめていく。
本当に綺麗…
「やはり似合うな。…ペンはあるか?」
『ありがとう…?』
ペン…?
机の上に置いてあるそれを差し出せば、彼は先程、私が床に落とした封筒からある紙を取り出す。