第4章 憲紀君
い、急いで戻らなきゃ…!
すぐに布団を畳んで、部屋を飛び出て女子寮へ走る。
というか、本当に私の部屋のことなのかな!?
部屋の前にたどり着き、鍵を開ける。
ゆっくりと息を吐き出して、扉に手をかけると、
「琴音」
『ひっ!?』
背後から名前をを呼ばれて背筋がぴしっと伸びるが、その声が憲紀君のものだと気付いて、安堵しながらも振り向く。
『どこに、行ってたの?』
「街に行っていた」
『えぇ!?だめだよ!安静にしてないと』
「大事な話がある」
『えぇっと…?』
被せ気味に言われた、彼の真剣な言葉に目を見開いてしまう。
昨日みたいに言葉を挟む隙が無い…!
とりあえず部屋の中へ入り靴を脱げば、その場に立ったままの彼。
彼の目が閉じたままのせいで、相変わらず何を考えているのか分からずどうしていいのか分からなくなる。
「琴音」
『は、はい…』
息を呑み込み返事をすると、彼が、持っていた紙袋からリボンに包まれた小さな箱を取り出して口を開く。
これって…
「もう既に決まっている事とはいえ、私の口から伝えたかった。
…私と、結婚してくれないか。
加茂家が居辛いというなら琴音が過ごしやすくなるよう務める。
この先、琴音の横にいるのは私でありたいのだ」