第4章 憲紀君
朝起きれば、既に隣に彼は居なくて飛び起きる。
い、今何時!?
室内を見回すがやっぱり誰もいなくて少し寂しい気持ちになる。
あの傷でどこに行っちゃったの?
「おやおやおや〜?お寝坊なお姫様は、やっとお目覚めですかぁ?」
『五条、先生…!』
振り向けば扉に寄りかかる先生が居て、いつも通り口角が上がっている。
お寝坊って…!
片手でぼさぼさであろう頭を押さえ、顔を逸らす。
「憲紀に琴音に部屋に来るよう伝えてって言われてんだけど、
僕がお姫様抱っこで連れてってあげよっか?」
『い、いつの間に!?やですよ!』
ちょっと目を離した隙に、この先生は居なくなったり、すぐ横に来たり…
目の前に来たりするのだ。
心臓に、悪い…!
「ほーう?
あ、コレ、憲紀に頼まれてたやつ、ついでに持っててってー」
そう私にA4サイズの封筒を押し付けて、どこかへと行ってしまう先生。
本当に何考えてるか分かんないなぁ…
って、部屋って、私の部屋にいるってこと…?
そこに、彼が、勝手に…?