第4章 憲紀君
憲紀君は自分の気持ちを、こんなに曝け出してくれているのに、
私はこのままでいいの?
そう、心の中で思った時には口が開いていて、
『ごめん。今日、ここに来た理由、
朝、約束したっていうのと、お礼を言いたかったのは本当、なんだけど…
1番の理由、は、あの…狡い、かもしれないんだけど、憲紀君が優しい人だって、気付いて……私が、ただ、会いたかった、からなの」
辿々しく言う、そんな私の話をちゃんと言い終わるまで聞いてくれる彼は、やはり優しい人だ。
ぴくりと彼の瞼が動き、片目が開いて引き寄せられる私の身体。
暖かい…
初めて、家族以外の異性に抱きしめられたのに、こんなにも安心出来るのはきっと彼だから。
「しばらく、このままで居させてくれ」
『えっと…虎杖君を、もう殺そうとしないって、言うなら』
「それに従うには、朝までこうしていても足りないな」
後輩を守るための、なかなか良い案だと思ったのに、即答って…
それに、朝までって…!
彼の腕の中は少し緊張するものの心地良くて、それでも良いかと思ってしまう。
『朝まででも足りないって…追加でどうしたら了承してくれるの?』
「…明日は1日休養日になるそうだ。一緒に居てくれ」
『そ、そんなんで、いいの…?ふふっ』