第4章 憲紀君
な、ななな何言って…!?
え、いや、私が期待してたのは、憲紀君が私を結婚相手として大事にしてくれてるのかもっていう、期待で…
まさか…
えぇ!?
こんな事、あり得るの!?
「伝わらなかったのか?私は…」
『つ、伝わりました…!
あの、その、思ってたのと違くて…びっくりして…』
そう思わず下を向いて呟く。
彼にそう思ってもらえるような出来事があったとは思えず、思考を凝らしていると…
彼が布団から出て、私の目の前に、片膝を立ててもう片足をあぐらの形にして座る。
『!!』
曲げた人差し指で顎を上げられて、至近距離で目が合う。
ずるい程にカッコ良い彼からはもちろん目は離せなくて…
「フッ…今日、ここに来てくれたこと、礼を言う」
『ぁ、朝、約束したから……
あと、私の方こそ、お礼言いたくて!
本当に、助けてくれて、あ、ありがとう』
「気にするなと言ったはずだが…
その後に、情けない姿を見せた…」
そうゆっくりと顎先から離れていく彼の指が、なんだか切なくて、もっとそうしていて欲しかったとすら思ってしまっていた。