第4章 憲紀君
「すまなかった。治すためとはいえ、狗巻達の前で」
『へ?……あっ!…ふふふ』
「なにを笑っている」
『憲紀君って、そういうこと気にすると思ってなくて…ふふ、あの時、助けてくれてありがとう』
やっぱり根は優しい人なんだなと安心して笑いかければ、少し不服そうな顔をしていて…
その途端、思い出す彼の言葉。
『…1つ聞いてもいい?』
「なんだ」
もう、怖い人という印象はかなり薄れていて、前の私ではきっと聞けなかったであろうことを口に出すことにする。
『さっき、あの…傷治してもらった時、他の人だったら怒るって…』
「そのままの意味だが?」
『それって…』
「…言わせるのか」
そう片目で見つめられ、顔が熱くなる。
…期待、してもいいの?
はぁと、息を吐き出す彼から目を離せずにいると、
「決められた将来の相手だが…私はお前に惚れている」
『へ…?』