第4章 憲紀君
はいはい、と、気怠げに返事をする真希に微笑んで、急足で彼のところへ向かう。
硝子さんがいるから大丈夫だとは思うんだけど…!
『硝子さん!あの…』
「ん?あぁ…君のフィアンセか?上の部屋で寝かせてるよ」
『そ、その言い方やめて下さいっ!』
「五条がそう言っていたからな。大丈夫だ。もう目が覚めるはずだ」
『もう五条先生…!ありがとうございます!』
フィアンセって婚約者だよね。
許嫁はちょっと違うような…
なんて考えながら、彼のいる部屋をノックして静かに入る。
まだ意識が戻ってない…。
布団の側の畳に腰を下ろして、さらりと彼の髪を撫でる。
『良かった……』
髪をまとめて無ければ、本当に普通の男子高校生みたい。
いや、本当に男子高校生の年齢なんだけど。
そう1人で微笑んでいれば、片目が薄く開き、ゆっくりと彼が起き上がる。
『む、無理しちゃだめだよ?』
「大丈夫だ。
…琴音。足はもういいのか」
『私のことより自分の心配してよ!
憲紀君が、治してくれたんじゃない』
そう少し笑いながら言えば、彼の手がするりと私の足首のあたりを撫で、びくり身体が揺れる。